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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
どこから伝え聞いて来たか、包一つを抱えた田舎娘は、立ちどころに拾われて、もう水仕事をしている。
それはそうとして、今も飛脚氏との会話のうちにあった、この胆吹王国の女王お銀様の父なる人、甲州第一の富豪――有野村の伊太夫が、また上方見物に名を仮りて国を出で、もはや、この地点近いところあたりまで来ているはず――ということは真実でした。
がんりきの百蔵という、腕の一本ないやくざ者が、お蘭どのという淫婦の御機嫌を取るために、わざわざ危険を冒して飛騨の高山まで引返して、そこの芸妓に預けっ放しにして置いた大金を取りに戻って見ると、その芸妓は一昨日、宇津木兵馬という若い侍と共に駈落をしてしまったということ、出し抜かれて苦笑いのとどまらないがんりきの百の野郎が、すごすごと舞い戻る途中、美濃の国の関ヶ原まで来ると、容体ありげな数人連れの旅の一行の者とすれすれになる途端、がんりきの百の野郎の頭にピンと来たものがありました。
この一行の旅人は普通の旅人ではない。見たところ、世間並みの庄屋の旦那どんが、小前小者をつれて旅立ちをしている程度のものでしかあり得ないようだが、がんりきの百の野郎の第六感で、「これは大物だ」