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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
「この置きちらかしを、何とか始末をすればよいのに」
その不快の思いを繰返しているところへ、どかどかと寺役が二三人、また無造作にやって来ました。それは、手に手に一抱えのものを持って、ある距離を取って壁画を眺めているお銀様の前を横切ると共に、あろうことか、今も不快の種となっていたその大床の床板の上へ持って来て、三人がおのおの胸いっぱいに抱えていた物を置き放してしまいました。その抱えて来たものは、提灯の古いのを重ねて括ったのや、さしに刺した銭を幾貫文となく、つまり、今までの鼠の巣の上へ、また鼠の巣の材料を加え、お銀様の神経を不快ならしめている上へ、また不快を積むのでありました。さりとてこの人たちは、みんな善良な、質朴な人たちで、画を冒涜せんがために、お銀様をイヤがらせんがために、そうしているのではない、画を認識しないのだ。画を認識する力が無いというよりも、床の間と物置との差別がつき兼ねているのだ。
ところで、なおあとからあとから鼠の巣が持来たされ、ついに、牡丹と唐獅子の一角を埋めようとするに至ったから、お銀様が、つい、こらえられなくなりました。
六十七