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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
山岡鉄太郎がどうとか、松岡万がこうとか、中条なにがしがああのと言うけれど、皆、分別臭い、問答無用でやっつける奴がいない、皆、利口者になり過ぎている、原始三河時代の向う見ずは一人もいないのだ。近藤勇に至ると、それらと類型を異にしている、人を殺そうと思えば、必ず殺す男だ」
百六十三
南条の言葉を聞いて、坂本も頷きました。
「そいつは拙者も同感だ、三百年来の徳川、智者も、勇者も、相当にいないはずはなかろうが、要するにみな分別臭い、蛮勇がない、三河武士の蛮骨が骨抜きになってしまっている」
「近藤が用いられるのもそこだ、たとえばだ、彼は剣客として相当の腕は腕に相違ないが、それは当時二流と言いたいが、三流四流どころだろう、彼は天然理心流というあんまり知られない流名を学んで、市ヶ谷あたりに、ささやかな道場を構えていたものだが、それも、千葉や、桃井や、斎藤に比ぶれば、月の前の蛍のようなものだ、はえないこと夥しいが、さて真剣と実戦に及んでみると、あれだけの胆勇ある奴はあるまい。山岡鉄太郎などをいやに賞める奴があるが、要するに、あれは分別臭い利口者だよ、暴虎馮河のできる男でもなければ、身を殺して仁を為せる男でもない。