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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
34 白雲の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,838 字 · 204 页
ぬれかかる
とっても
とっても
勿体なくて
上られえん
とっても
とっても
とうとう船べりで、足拍子を踏んで、片手を振り上げながら、面白おかしくおどり出してしまいました。
とっても
とっても
勿体なくて
上られえん
その狂態を指して田山白雲が、
「あれです――初唐の古詩をああして朗々とやり出すかと思えば、とりとめもないあのでたらめをごらんなさい、さんさ時雨を取入れたかと見ると、もう、たったいま耳食の昔話が織り込まれているのであり、何物でも一度彼奴の耳に入ったら助かりません――あの踊りだってそうです、無雑作のうちに、どこか節律があるんでしてね。だから、見ていて、なかなか面白いです。つい我々まで、あいつの踊りに釣込まれてしまうのです。黙って見ていてごらんなさい、興が乗り出して来たようですから、何をやり出すか見物ですよ、何かの感傷で反芻が引出されると、全く思いがけない離れ業が飛び出すのです。御当人に分っていないのですから――歌う意味が分っていないのは勿論、この次に何が飛び出すかの予測が、歌って踊る御当人にもついていないのですから……」
白雲がこう説明して、この際、玉蕉女史に、暫く鳴りをしずめて、かの童子の出鱈目に制限を加えないように心づかいを慫慂していると、