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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

中里介山『大菩薩峠1』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 页

青空文庫

十一月の末で、今日はよほど寒い、天も朝からどんよりとしていたが、夕方からははたして粉のような雪が降りはじめました。

寛永寺の暮六ツが鳴ると、最後に出かけた一人が立帰って、

「隊長、首尾は上々じゃ」

「それは大儀」

隊長と呼ばれたのは水戸の人、芹沢鴨。

「杉山左京が邸を乗り出した駕籠が二挺、その後ろのがまさしく清川八郎」

「確と?」

「相違ない、拙者は武兵衛にあとを頼んでおいた、急ぎ用意あって然るべし」

「心得たり」

十余人が躍り立って用意の黒装束。

一方には大盃になみなみと酒を注いで、

「待て、後ろなるはめざす清川八郎、前なるは何者じゃ」

一隅から吼え出したのは、新徴組の副将で、鬼と言われた近藤勇。

「おお、それでござるが」

斥候から帰って来た武士は近藤の方へ向いて、

「それはたしかに高橋伊勢守」

「ナニ、高橋!」

一座が面を見合せる。

高橋伊勢守は後の泥舟翁、槍を取っては当時海内の随一人。

その頃、丸の内の杉山左京という旗本の邸に、月二三回ぐらいずつ毛色の変った人々が集まって、四方山の話をする会があった。集まる人は高橋伊勢守、山岡鉄太郎、石坂周造、安積五郎、清川八郎、金子与三郎、それに島田虎之助の面々で、幕臣もあれば勤王家もある、大した人数ではなかったけれど、この会合は新徴組からヒドクめざされていました。