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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
中里介山『大菩薩峠11』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 页
もう、踊りも名取になったから、一旦、国へ帰って、それから四日市へ出て、お師匠さんで身を立てようと思う――というようなことを、米友に語って聞かせました。
そうして、一通りの身の上話が終ると、結局、
「友さん、そういうわけだから、ぜひ、わたしと一緒に国へお帰り……お前さんが帰ると、土地の人が、どんなにびっくりするだろう、わたしは、そのびっくりする面を見てやりたい、ね、一緒に帰りましょうよ」
二十九
お銀様というものの存在が、今や有野村にとっては、恐怖の的でありました。
あの災難の後、伊太夫は、慢心和尚を招じて大供養をいとなみ、追善として、米穀と、金銀との夥しい施行を試みましたけれど、お銀様というものには、一指を染めることもできませんのです。
お銀様は、大竹藪の中の椿の木の下に、茶室をうつして、それに建増しをしたところに、ひとり住んで、その呪われたる存在をつづけて行きます。
ただ、御当人だけが呪われたる生活にひたる分には、まだいいが、その個人生活が漸く甚だしい暴虐として現われて来ることには、周囲としてほとんど堪えられぬことです。
父の伊太夫のこの娘に対する苦心、もてあましは、今に始まったことではないが、この際一つの悔いを追加したのは、この娘から、あの弁信という奇怪な小法師を取放してしまったこと