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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

中里介山『大菩薩峠11』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 页

青空文庫

東妙和尚から、この相談を持ちかけられた与八は、一応納得して、その委細をお松に伝えるべく、机の家の本家まで帰って来ました。

五十九

お松はその日、子供を帰したあとの講堂(もとの机の道場)を整理していると、ふと外の庭でする子供らの話に耳を傾けさせられました。

のぞいて見ると、十歳を頭と思われるくらいの男の子が五六人、いずれも背中に乳呑児を結びつけて、子守を仰せつかりながら、桜の木の下で石蹴りなんぞをして、遊んでいるところであります。

寺子屋としての日課が終ってからでも、この校庭が遊び場所になるのは毎日のことのようなものですが、今日は、お松が特別に注意を向けさせられたのは、子供たちの無意識な会話ぶりでありました。

「お前んちへは、また赤ん坊が出来たのかえ」

「ああ」

「貧乏のくせに、そんなに子供ばかり出来ちゃあ、食わせるに困るだろう」

「困りゃしないよ、赤ん坊はまだ何も食やしないもの、乳ばかり飲んでいるよ」

「馬鹿、今は乳ばかりだって、いまにでかくなればおまんまを食うぞ」

「そりゃ、そうさ」

「その時になると、食わせなけりゃならねえ、お前のうちじゃ食わせられるかい」