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だいぼさつとうげ

大菩薩峠19

中里 介山

中里介山『大菩薩峠19』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 页

青空文庫

なんにしても北海道は、日本の幕府の支配内のところに相違ない。そこへ鍬を卸すことは、何かの故障も予想されるし、自主独立の精神にさわるところがある。それに気候が寒い――物見遊山の目的の船出ではないから、気候風土の良否の如きを念頭に置くことは贅沢のようなものだが、さりとて同じ拓くならば、気候風土の険悪なところよりは、中和なところがよろしい。寒いところよりは、温かいに越したことはない。

それらの思索が、ここに至っても駒井をして、まだ北せんか南せんかに迷わしめている。しからば北進策を捨てて、南進策を取るとしてみると、この船をいずれの方に向け、いずれの地点に向わしむべきか。今となって、そういうことを考えるのは薄志弱行に似て、駒井の場合、必ずしもそうではなかったのです。事をここまで運び得たにしてからが、尋常の人には及びもつかぬ堅心強行の結果というべきだが、船を航海せしむることだけが駒井の目的の全部ではない。むしろ船は便宜の道具であって、求むるところは、何人にも掣肘せられざる、無人の処女地なのです。無人の処女地を求め得て、そこに新しい生活の根拠を創造することにあるのですから、航海も大切だが、それは途中のことに過ぎない。