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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
中里介山『大菩薩峠19』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 页
謂『教時問答』『菩提心義』『悉曇蔵』『大悉曇草』等なり、その『教時問答』は一仏一処一教を立て、三世十方一切仏教を判摂す、顕密を錯綜し、諸宗を泛淙す、台密の者、法を之に取る、その『悉曇草』は深く梵学の奥旨を得たり。時人曰く、安然は東岳の唇舌を以て西天の音韻に通ず、才宏劉なるかなと。都率超曰く、然り、師は顕密の博士なりと。又曰く、公若し我が門に入らざれば秘教地に墜つ可しと。その英賢の為に旌さるること此の如く、元慶八年勅して元慶寺伝法阿闍梨と為す」
これほどの大善智識でありながら、死後すでに一千年、誰もその徳を慕う者がないばかりか、その記念の塔ですらが、世間から冷遇されるとは何と不幸な聖ではないか。
住職和尚から、この一通りの来歴を説明されて道庵先生が、
「なるほど、五大院の安然大和尚が、教界古今の大学者だということは、拙者も兼ねて承らないでもありませんがね、それが、あねさん呼ばわりは、語呂の共通転訛の致すところで、やむを得ないとしてからが、それほどの大徳が、今日に至って、さほど世間から冷遇されるというのは、どうしたものでござるか、明智光秀の塔が壊されるとか、足利尊氏の木像が梟されるとかいうなら、筋は通るが、しかし、碩学高僧である大和尚が、死後まで、俗人冷遇の目の敵にされるというのがわからねえでがす」