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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页

青空文庫

いったい、この女が最近において当てた二ツのレコードは、印度の黒ん坊の槍使いと、それから山神奇童の清澄の茂太郎に越すものはないのに、二つとも大当りに当りながら、どちらも途中で邪魔の入ったのが癪です。

「ちぇッ、どこかで見たっけ、あのちんちくりんの黒ん坊を。もう一ぺん引張って来ようか知ら」

と、お角がいまいましそうに未練を残してみたのは、例の宇治山田の米友のことであります。

「あれならば、まだまだけっこう人気が取れるんだけれど、あいつは、馬鹿正直で、まるっきり商売気というものが無いんだからやりきれない」

お角は、米友に未練を残しながら、煙管をやけにはたいて、それからそれと問わず語りをはじめている。

「お祖師様の一代記を菊人形に仕組んでみたら、という者もあるが、あれはいけないねえ、人々に相当したことをやらなけりゃ物笑いだからねえ……いっそ、上方から女浄瑠璃の大一座でも招んで来ようか知ら。それも大がかりだし、第一それじゃ今の一座が納まるまいし……」

とつおいつの末が、朱羅宇の煙管へ、やけに煙草を詰め込むのが落ちで、むやみに焦ったがっているところへ、二階で物音がしましたから、吸いかけた煙管をはなして天井を見上げている。