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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页

青空文庫

「梅干はかわいそうですね」

「かわいそうなことがあるものか、第一梅干にしておけば、土用を越したってなんともないし、それに実用向きで……」

「あやまる、あやまる」

金助はしきりに頭を下げて、

「若い娘が梅干気取りでおさまっていりゃあ、世話はないや」

「世話はありませんとも、梅干一つありゃほかにおかずなんか何も要りません」

「あれだ、手がつけられねえ」

金助はまたも額を丁と打って、

「冗談はさて置き、いったい、親方という人は、今時分ドコをドウうろついてあるいてるんだろう、人の気も知らないで……」

「今晩は帰らないかも知れませんよ」

「え、帰らない? おだやかでありませんな、ここへ帰らなけりゃどこへ泊るんです」

「どこだか知りません」

「いい年をして、そう浮ついてあるいては困りますって、金助が腹を立ってたって、帰ったらキットそういって下さい……第一、こんな若い娘をひとり留守居に置いて家をあけるなんて、時節柄、物騒千万」

金助が減らず口を叩いて容易に帰ろうともしないから、お梅が迷惑がりました。迷惑がったところで、遠慮する人間ではなく、ずるずるべったり、泊り込んでしまうつもりかも知れません。