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てんにょとおばけ

天女とお化け

小川 未明

「キング」1953(昭和28)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,886 字 · 10 页

青空文庫

秀吉はKについて、よくふき清められた玄関を入ると、ひやりとした空気を感じました。

かたわらには患者の控え室があって、そこをぬけると、薬品のにおいのする診察室があり、並んで座敷になっていました。秀吉は、Kの客という資格で、案内されるまま、奥にあるKの書斎へみちびかれました。その際、座敷のうすぐらい床の間においてあった、美しい尾をひろげた大きな鳥に、目をうばわれたのであります。

「君、あの鳥は、なんというのかい。」と、秀吉は、友だちの机のそばにすわると、すぐたずねました。

「あの鳥を、まだ知らないの。孔雀の剥製なんだよ。」と、Kは答えました。

「ほんとうに、きれいな鳥だね。どこにすんでいるのだろうね。」

「なんでも、南洋の暑い国にいるというよ。」

「どうやって、捕らえるのだろうね。」と、彼は、それから、それへと、空想してききました。

「しかし君、あの尾のいちばんきれいなところが、大毒なんだというよ。」と、Kは、秀吉にいいました。

「あの紫色にぴかぴか光るところなの。」と秀吉は、思わず目をかがやかしたのです。

「ああ、そういう話だよ。」

「なめれば死ぬかしらん。」と、秀吉は、いいました。