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あまくさのはる
天草の春
長谷 健
「九州路抄」日本交通公社、1948(昭和23)年9月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,293 字 · 15 页
とある。その人物のほどもうかがわれるし、この供養碑を建てた彼の精神もおよそ納得出来るように思う。
午後四時発のバスだというので、鎮導寺にも立寄り、勝海舟書くところの本堂の柱の和歌というものを見たかつたが、時間がないようなので割愛して、停留所に帰りついた。ところがそれから約一時間つまらない待ちぼうけをくわされ、すつかりくさつてしまつた。
観光地としての条件は多分にもつていながら、一向土地の人々に観光客誘致の熱意がないのは、どういうわけであろう。島原から天草にかけてを、国立公園にするとかしないとか、いろいろ取沙汰されていながら、なかなかその運びにいたらないのは、このような土地の人々の不熱心の然らしむるところか。だが、そのような詮索は、私にとつては、必しも必要なことではない。ともあれ、私はこの地の人々と直接話はしなかつたけれども、観光客としての満足は充分達せられた。それでいてなお、このようなことをいうのは、町に一本の案内標もなく、観光客をめいわくなとばかり、バスの時間などめちやめちやにあしらわれては、折角の美しい天草のため惜しまれるからである。
六時半すぎ、本渡帰着