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ふうふがさっかであるばあい
夫婦が作家である場合
宮本 百合子
「行動」1934(昭和9)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,933 字 · 8 页
いずれも文学的公人であるから名をあげることをも許されると信じるが、その夫婦は佐佐木茂索氏夫妻である。
何かの折佐佐木茂索氏とふさ夫人とが題材としては小さい一つの題材を二人両様に扱って書いたところ、(或は書こうとしたところ)その扱いかたの腕では、茂索氏が勝ったとか、ふさ夫人がまけたとか、単に二人をかけ合わすのが面白いというような対比のしかたでゴシップにのぼったことがあった。
私は、その当時、田村氏の場合と違った種類で感想を刺戟された。二人ともうるさくて厭だろう。私は主観的にそう思いやって感じた。内でも外でも、二人の作家としての神経が夫婦の生活感情の中に在っては、互にくたびれるであろう。例えば、一緒に暮していれば生活の中に起った同一のことについて、妻も良人もその瞬間ああ書きたいと思う場合もあるに違いない。その時、まして茂索氏やふさ夫人のような気質の人たちであったら、大したものでもない題材へ、夫婦が両側からとびつく姿をめいめいの心の中に描いただけでもうんざりするというところがあり、具体的には計らず互に牽制する結果となって才能をいつか凋ませ、みえを忘れて文学を創る者ではなく、文学を理解し愛好するものにまで生活態度を消極化してしまうのではあるまいか。