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ふうふともかせぎとじょしのがくもん

夫婦共稼ぎと女子の学問

大隈 重信

「大和なでしこ 第十二卷第四號」大日本女學會、1912(明治45)年2月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,995 字 · 6 页

青空文庫

近来夫婦共稼ぎという声を盛んに聞く様になった。これは勿論生活の圧迫から来たのであろう。文明の進歩につれて、生活問題が益々むずかしくなって来て、夫婦共稼ぎということもまた避け難き数とはなったのである。然るに中には妻を働かせるのをなんだか夫自身に意久地がないかに思ったり、思われたりするのを非常に恥辱として反対するものもあり、また実際妻が何処へか勤めつつあるを秘して人に語らぬという様な傾きが大方の男子を支配している。また女子の側に於てもそうであって、木にる蔦葛で、女子は決して独立することの出来ぬものとの思想から、嫁して夫に養うてもらうのが当然である如くに考えている。甚だしきに至っては、花嫁は人形然と床の間に座らしておくのが男の腕であると信じている。ことに近頃は寄席芝居物見遊山の行楽から、身には流行の粋を着飾って、贅沢三昧に日を送りたいという考えで、人の妻になるものも尠なくないとの事であるが、誠に不心得極まる現象と言わねばならぬ。

これは「人生婦人の身と為る勿れ、百年の苦楽他人に頼る」とか、女は氏なくして玉の輿とかいう如き、東洋流の運命観から出た、弱竹の弱々しい頼他的根性から来たのである。