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めおとぜんざい
夫婦善哉
織田 作之助
「海風」1940(昭和15)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,643 字 · 61 页
水商売がよろしいと言われた。「あんたが水商売でわては鉱山商売や、水と山とで、なんぞこんな都々逸ないやろか」それで話はきっぱり決った。
帰って柳吉に話すと、「お前もええ友達持ってるなア」とちょっぴり皮肉めいた言い方だったが、肚の中では万更でもないらしかった。
カフェを経営することに決め、翌日早速周旋屋を覗きまわって、カフェの出物を探した。なかなか探せぬと思っていたところ、いくらでも売物があり、盛業中のものもじゃんじゃん売りに出ているくらいで、これではカフェ商売の内幕もなかなか楽ではなさそうだと二の足を踏んだが、しかし蝶子の自信の方が勝った。マダムの腕一つで女給の顔触れが少々悪くても結構流行らして行けると意気込んだ。売りに出ている店を一軒一軒廻ってみて、結局下寺町電停前の店が二ツ井戸から道頓堀、千日前へかけての盛り場に遠くない割に値段も手頃で、店の構えも小ぢんまりして、趣味に適っているとて、それに決めた。造作附八百円で手を打ったが、飛田の関東煮屋のような腐った店と違うから安い方であった。念のため金八に見てもらうと、「ここならわても一ぺん遊んでみたい」