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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
14 第四次元の恋
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,531 字 · 23 页
相手が何を考えて居るか、一種微妙な心のラジオで、端的に鮮明に解るのでした。
憎みも、怒りも、友情も、そして恋も、向い合って直ぐ相手の心を読み取れるとしたら、世の中は、どう変貌するか、試みに考えて見て下さい。其処には偽善も無くなり、陰謀も無くなり、嘘も手管も無くなり、収賄も詐欺も、ヤミ行為も無くなるのです。その上お互の心を読み合うのは、面と向った二人だけとしたら、恋だけは――何と有難いことか、永久に二人の間の秘密であり得るではありませんか。
夢の中の京極三太郎は、矢張り新聞記者でそしてひどく貧乏でした。何処の何という新聞であったかわかりません、第四次元の国では、それで結構通用して居るらしいのであります。
京極三太郎は編集長の云いつけで、錦小路という、曾ての公卿華族を訪ねました。その家の有名なお嬢さんが、映画界に入るという早耳の噂を聴いて、訪問記事の特種を取るためだったのです。
それは薄寒い晩秋の或日でした。山の手の迷路を尋ねあぐんで、漸く錦小路家を捜し当てると、想像以上のひどい家で、応接とは名ばかりの六畳の日本間に通されて暫く待つと、
「――――」
黙ってスーと入って来て、慎ましくお辞儀をした若いお嬢さんがあるのです。