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きぞくはしはらう

奇賊は支払う

海野 十三

烏啼天駆シリーズ・1

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,269 字 · 15 页

青空文庫

といいだしたことである。

そして彼はこの語に続いて小さな声で、次のような文句を附加えたものだ。「……たとい電車の中の掏摸といえども、乗客から蟇口を掏りとったときは、その代償として相手のポケットへチョコレート等をねじこんでおくべきだ。そういう仁義に欠ける者は、猫畜生に劣る」

犬畜生というべきところを猫畜生といったのを勘考すると、烏啼天駆は袋猫々を歯牙にもかけずといいながら、実はやっぱり常日頃、心の隅に探偵猫々の姿を貼りつけて、多少気にしているものと見える。

とにかく、彼天駆がそういう風に菩提心を起したことは、逸早く機関誌「ザ・プロシーデングス・オブ・ザ・インスチチュート・オブ・ニッポン・スッパ・エンド・オシコミ」に記載せられ、会員及び広く被害性大衆に一大感動を与えたことだった。この記事を読んで会員の一人である掏摸与太郎は慨歎した。「するてえと、電車の中で五百円紙幣を稼ぐためには、おいらは背中にチョコレートの入った大きな包を背負って電車に乗込まなきゃならねえぞ。こいつはどうも不便なこった!」

2

闇成金の苅谷勘一郎氏の許へ、その朝恐るべき脅迫状が舞いこんだ。