轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おんなとぼうし

女と帽子

豊島 与志雄

――「小悪魔の記録」――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,614 字 · 33 页

青空文庫

――俺が饒舌ってるのをそっちのけにして、今村は顔をこわばらし眼を丸く見開いて、前方を見つめた。振り返ってみると、そこに、波江が立っていたのである。黒がちの縞お召の着物に、花をちらした白っぽい帯をしめ、小さな革のハンドバッグをかかえ、ベルベット紋模様のショールをひっかけ、いつもの通りほんの型ばかりの薄化粧の顔だが、それをへんに赧らめて、眼に興奮の色を帯びて、笑いかけたのを中途でやめ、つかつかと寄ってきた。

「ご免なさい、遅くなって……。お待ちになりましたの?」

じっと今村に眼をやったのは一瞬間で、すぐその側にくっつくように腰を下した。そして一昨日のお詫びやら、珈琲をあつらえるやら、どこに行きましょうかと尋ねるかと思えば、海の見える室をとっておいて貰ってるとか、へんにそわそわして、小料理屋の主婦らしい態度に生娘らしい調子を交えていた。今村はただ簡単な返事をするきりで、先刻の焦躁の気はなくなり、心身ともにしいんと沈みこんだ様子だった。

二

自動車は京浜国道を走っている。波江は袂の下で今村の片手を執りながら、顔をそむけて、外の風物にぼんやり眼をやった。