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おんなのいっしょう

女の一生

森本 薫

「女の一生」文明社、1946(昭和21)年10月刊、初演は1945(昭和20)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,068 字 · 25 页

青空文庫

さあ早く来い。おや、お客様かね。

伸太郎 いや。お客様ってわけじゃないんだけど……。

章介 おいおい隠したって駄目だぞ。こう現場をおさえられてしまってはもう手遅れだ。姉さんあんたはいい子だいい子だなんていっているが、油断もすきもありませんぞ、ちょっと目を離すとこの有様です。

栄二 そうじゃないんだよ。おじさん、この人は僕達まるで知らない……。

章介 こら、まだしらっぱくれるのか。知らない人を座敷に上げて話をしてる奴がどこにある。

伸太郎 いいえ。ほんとうなんです。おじさん、僕達は……この人のお父さんはおじさんと同じように戦争に出て戦死したんです。

章介 お父さんが戦死したからお前達のお客様でないという証拠になるかね。

栄二 ちがうよ。そんなこといってやしませんよ。この人はおばさんの家に引き取られていたんだけど、この家がひどい家なもんで、それで家を出て……。

章介 え? 家を出てどうしたというんだ。お前達の話はまるで現在の状態を説明する材料になっとらんぞ。落第、落第。

しず 章さん。そうお前のように笠にかかって物をいったってわかりゃしませんよ。みんなへどもどして話がごたごたするばかりですよ。