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おんなのいっしょう
女の一生
森本 薫
「女の一生」文明社、1946(昭和21)年10月刊、初演は1945(昭和20)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,068 字 · 25 页
章介 ふむ……姉さん。戦争のおかげで一代に産を成し、あなたのように子供から誕生日を祝って貰う人もあり……同じ戦争で父を失い誕生日に町を彷徨する者もあり……さまざまですね。
間。
けい ねえ。おばさん。後生だから私を、お巡りさんへ渡すのだけは堪忍して頂戴。もう、これからは決して他所の家へ黙って入ったりなんかしませんから……。
しず 大丈夫ですよ。おばさんは、あなたを警察なんか渡しゃしません。ですから早くお家へお帰んなさい。お家じゃきっと心配してらっしゃいますよ。
栄二 家じゃ心配なんかしてないかもしれませんよ。
しず 何を言うのです。家のものがいなくなって心配しないお宅があるものですか。
栄二 だって……その子の家は……。
しず 子供を育てるってことはねえ。育てられた当人が思っているほど、そう簡単なものじゃありませんよ。自分のお腹を痛めた子供を育てるのだって、時には、もうもうどうしていいかわからないほどつらく、情ないことがあるものです。まして、例え親類にもせよ、他人の子供を育てて下さったということは、並大抵のことじゃありませんよ。それから又、人ってものは、その辺にごろごろしてる時は邪魔になったり、厄介者に思ったりしていても、さていなくなるとやっぱり惜しいことをした、可哀想なことをした、そういう気になるものですよ。