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おんなのはなし・はなのはなし
女の話・花の話
上村 松園
「大毎美術 第十三巻第五号」1934(昭和9)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,639 字 · 6 页
都会の人の息と風塵に染んだ花とは違っておりまして、ほんの山桜の清々しい美しさは、眼にも心にもしむばかりの感じでした。
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この社地の隣りが花の寺です。少し上り気味の坂にかかると、両側の松や雑木の間から、枝をひろげて、ハミ出ている桜が、登ってゆく人の頭の上にのしかかって咲いております、それはとても見事な美しさでした。
山門をはいってずっと奥にゆきますと、鐘楼があって、そこにまた格好のいい見事な枝垂桜があります。向うから坊さんが一人、ひょろりと出てくるといったような風情は、なんともいえない幽静な趣きでした。
この花の寺の後ろに小塩山という山がありますが、これが謡にある「小塩」です。その謡の文句によりますと、昔花に修行の僧侶があって、この花の寺を訪ずれますと、花の精が出てきて、いろいろと由来を説くという筋になっておるのですが、実際の花の寺も、そんな由来や伝説の発生地にふさわしい古雅なおちついた境地でして、そのままに謡の中の修行僧が出て来ても、一向不思議はないくらいの静けさを見せております。
このくらい京を離れて、このくらい寂然としておりますと、もう俗人などはあまり寄りつきません。