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おんなのさかなうり
女の魚売り
小川 未明
「赤い鳥」1922(大正11)年4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,886 字 · 8 页
ある空の赤い、晩方のことであります。
海の方から、若い女が、かごの中にたくさんのたいを入れて、てんびん棒でかついで村の中へはいってきました。
「たいは、いりませんか。たいを買ってください。」と、若い女はいって歩きました。
この村に、一軒の金持ちが住んでいました。その家はすぎの木や、葉の色の黒ずんだ、かしの木などで取り囲まれていました。そして、その広い屋敷の周囲には、土手が築いてあって、その土手へは、だれも登れないように、とげのある、いろいろの木などが植えてありました。
若い女の魚売りは、その屋敷についている門から、しんとした内へ入ってゆきました。
「たいを買ってください。」と、女はいいました。
この家は、金持ちでありながら、たいへん吝薔であるということを、村では、みんな知らぬものがないくらいでした。
「どれ、たいを見せろ。」という声がすると、この家の主人が顔を出しました。
女の魚売りは、かごを下に置いて、たいを主人に見せました。林の間をとおして、西の空の赤い色が見られたのです。その空の色に負けずに、たいの色は紅くあったのでした。
「このたいは、新しいか。