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おんなのさかなうり

女の魚売り

小川 未明

「赤い鳥」1922(大正11)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,886 字 · 8 页

青空文庫

そのとき、空の色は、しだいにうすれて、やがて、空も、海も、まったく、青黒くなってしまったのであります。

空の色が銀色に光って、生暖かな日のことでありました。年をとった女が、浜の方から、かごの中に、たくさんのたらをいれて売りにまいりました。

「たらを買ってくださいませんか。」

女はこういって、村の中を歩きまわりました。たらは、冬の寒い日に捕れる魚であります。こんなに、暖かになってから、捕れることはありません。みんな、北の寒い、寒い、海の方にいってしまうからであります。

「いまごろたらが捕れるなんて、不思議なことですね。」

村の人たちは、こう語り合って、だれも、その女の持ってきたたらを買おうというものはありませんでした。

「安く、まけておきますから、たらを買ってください。」と、女はいいました。

その女は、よく見ると、すがめでありました。人々は、その女の顔と、かごの中のたらとを見くらべて、買おうとするものはありませんでした。

女は、金持ちの家の門を入ってゆきました。

「たらを買ってくださいまし。」と、女はいいました。

「いらない。」と、金持ちは答えました。

「まけますから、買ってください。