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じょしきりがみねとざんき

女子霧ヶ峰登山記

島木 赤彦

「山岳 第一年第一號」日本山岳會、1906(明治39)年4月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,198 字 · 11 页

青空文庫

此の種のものは今の内によく調べて置いて、他日明治女子登山史を編纂する材料とし度く思う。余は三十六年に女子二十余人を率いて、八ヶ岳登山をした事がある。二泊三日の登山中一人の疲労者をも出さず。採集物も随分豊富、先ず成績佳良の方であった。今年八月又々十五人の女子を引連れて霧ヶ峰に登った。以下記する所はその紀行で、それにまま山案内的のものを交えて、諸君子の登山に便せんと思うのである。

霧ヶ峰は、八ヶ岳火山彙中の北端にある休火山で、地籍の大部分は長野県諏訪郡にあって、一部分は小県郡に跨って居る。高さはやっと二千米突内外で、その上に傾斜が極めて緩慢であるから、上諏訪町附近の人が、春から夏秋にかけての登山は、丁度日曜の遠足に、恰適位な程度である。山の面積の極めて広大なるに比して、高さが前記の如くであるから、一寸見には、根からダラシの無い、不恰好な、何処に主峰があるかさえ分らぬ草山で、云わば火山中の老朽者と云う位置であるが、登って見て、何処までも奥行の知れぬ広さが、他の佶屈な少壮火山(形から見立てて)と異なったよい感じを与える。余は此の山を一日の遠足地として、非常に珍重して居る。