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じょしきりがみねとざんき
女子霧ヶ峰登山記
島木 赤彦
「山岳 第一年第一號」日本山岳會、1906(明治39)年4月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,198 字 · 11 页
雨のために握飯がよい加減にしめって居る。時計は今少しで十二時を指そうとして居る。
午後一時頃、余等は賽の河原坂の上に休んで、下界に霽れ行く霧の壮大なる光景を眺めて立った。薄霧の末には遙かに諏訪湖さえ見えている。生徒の喜びは大したものであるが、余はこの晴が一時的のものであると信じて居た。果然一時半頃から大粒の雨がやって来た。もう斯うなっては破れかぶれ、疲れた生徒の手を引いても行ける処まで行こうと決心して、丈長い草を分けて出立した。数町行くと、白檜森が左右に一かたまり茂って、その側に潺々たる小川が流れている。咽を湿して又出掛けた。これから東股川の谷までが霧が峰の尤も雄大を極めて居る処で、広漠たる広原が両方の鈍形峰から斜に裳裾を曳いてその中間に、今飲んだ清流を走らせて居る。晴天ならばこの辺に角間新田から登る草刈が、あちこちと唄いかわして、遙か向うに飼放された馬の群が走るなど、真に悠々たる天上の花野であるが、今日は中々そんな訳でない。やっとの事で通り抜けて東股川の谷に下りた。
採集植物
シモツケソウ クカイソウ ルリトラノオ キンバイソウ ヤナギラン ウスユキソウ ヨブスマソウ ノブキ バイケイソウ シュロソウ ヒメユリ シラヤマギク オタカラコウ タムラソウ キオン