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にょきゃくいっしゅうかん
女客一週間
豊島 与志雄
「新潮」1931(昭和6)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,724 字 · 26 页
それが本気なのだから可笑しい。病人を看護するには、何かが足りない。切りっぱなしの髪が、余りに無雑作だ。坐り方が、余りにも固苦しい。全体に、余りにも曲線が乏しい。看護人は、病苦の刺々を包みこむふんわりした真綿みたいでなければならないのだ。島村は煙草に火をつけて、彼女の方を見やる。それにつれて、彼女も苦笑する。そんなら二日酔ですかってきく。まあそうだな。煙草の煙もそれに調子を合せる……。
「ゆうべ、コスモスにいらして?」
何かがちらと光ったような問いだった。コスモスというのは、彼女がいたバーの名前だ。
「さあ……。」
宿酔の記憶は朦朧としている。だが、たしかに彼は行かなかった。天麩羅屋がふり出しで、日本酒のバーに行って、それから待合……。初めに天麩羅なんか食ったんで、腹が少し痛んでいるんだ。
「たしかに行かないよ。」
「なぜ?」
なぜってきく奴もないものだ。だが、それは島村にも初めての発見だった。コスモスは、キミ子がいてのコスモスだ。キミ子がいなくなれば、もうコスモスでも何でもない。女給はも一人いるし、洋酒のいいのも揃っているが、やはりキミ子が光っていた。彼女が美貌だというんじゃない。