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にょきゃくいっしゅうかん

女客一週間

豊島 与志雄

「新潮」1931(昭和6)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,724 字 · 26 页

青空文庫

品物では見当がつかないし、金銀ではいけないかしら?――そんなことだめ、と彼女は断然ぶちきってしまった。労働というものは、報酬を要求すべきではない。報酬を要求するからいけないのだ。その代り、生活は誰にでも与えられるべきだ。彼女は働かなければいけないから働いたのだ。食べたいから食べたのだ。室があいてるから泊ったのだ。労働は万人の義務で、生活は万人の権利だ。そういったことが、また彼女の頭のなかにはびこってしまっている……。

「こんど、コスモスで、チップに頂くわ。それまでお預けよ。……でも、困っちゃったわ。こんど来る時には、花火をどっさり持ってくるって、お子さんたちと約束しちゃったの。いいかしら……。」

「約束は守らなくちゃいけない。」

「…………」

彼女は無意味に、おかっぱの毛をゆすって笑った。