轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

「女性改造」1950(昭和25)年8月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,011 字 · 94 页

青空文庫

一

松月別館での第一日は、あらゆる点で静かだった。二日目も静かだったが、夕刻、激しい雷雨雷鳴が襲ってきた。

天候の異変は、却って人の心を鎮める。

いいなあ、と長谷川梧郎は思った。

本館では、客がたて込んでいて、騒々しく、仕事など出来そうになかった。もっとも、或る文化団体の嘱託事務のかたわら、際物の翻訳などをやっている、その翻訳の仕事だから、大したものではなく、懶けたとてさほど差支えはなかった。だが、石山耕平から長谷川を紹介された松月館主人は、数日後、長谷川に言ったのである。

「こちらは、あいにく、たて込んでおりまして、お仕事が出来にくいかも知れません。お宜しかったら、別館の方はいかがでしょうか。少し不便ですが、妹が一人いるきりで、静かなことはこの上ありません。」

それで、長谷川は別館に移ってきた。

本館から、温泉町を少し通り、裏へそれて、狭い田舎道をだらだら上り、だいぶ行ったところ、丘の裾に、ぽつりと建ってる二階家なのである。あたりには、農家が二つ三つあるきり。浴室はあるが、温泉はまだ通じていない。不便なこと、少しばかりではない。湯にはいるには本館まで行かねばならないし、飯はこちらでたくが、料理は本館から番頭か女中かが運んでくる。