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じょなん

女難

国木田 独歩

「文藝界」1903(明治36)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,695 字 · 45 页

青空文庫

と言って無理に餅をくれます。そうされますと、私はなぜかなお悲しくなって、母の膝にしがみついて泣きたいほどに感じました。

私は今でも母が恋しくって恋しくって堪らんのでございます」

盲人は懐旧の念に堪えずや、急に言葉を止めて頭を垂れていたが、しばらくして(聴者の誰人なるかはすでに忘れはてたかのごとく熱心に)

「けれどもこれはあたりまえでございます、母はまるで私のために生きていましたので、一人の私をただむやみと可愛がりました。めったに叱ったこともありません、たまさか叱りましてもすぐに母の方から謝まるように私の気嫌を取りました。それで私は我儘な剛情者に育ちましたかと言うにそうではないので、腕白者のすることだけは一通りやりながら気が弱くて女のようなところがあったのでございます。

これが昔気質の祖母の気に入りません、ややともすると母に向いまして、

『お前があんまり優しくするから修蔵までが気の弱い児になってしまう。お前からしても少ししっかりして男は男らしく育てんといけませんぞ』とかく言ったものです。

けれども母の性質としてどうしても男は男らしくというような烈しい育て方はできないのです。