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じょなん

女難

国木田 独歩

「文藝界」1903(明治36)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,695 字 · 45 页

青空文庫

『男は剣難の方がまだ男らしいじゃないか、この児は色が白うて弱々しいからそれで卜者から女難があると言われたのじゃ、けれども今から女難もあるまい、早くて十七八、遅くとも二十ごろから気をつけるがよい』と申しました。

ところが私にはその時(十二でした)もう女難があったのでございます。

ここまでお話ししたのでございますから、これから私の女難の二つ三つを懺悔いたしましょう。売卜者はうまく私の行く末を卜い当てたのでございます。

そのころ、私の家から三丁ばかり離れて飯塚という家がございましたがそこの娘におさよと申しまして十五ばかりの背のすらりとして可愛らしい児がいました。

その児が途で私を見るときっとうちに遊びに来いと言うのです。私も初めのうちは行きませんでしたがあまりたびたび言うので一度参りますると、一時間も二時間も止めて還さないで膝の上に抱き上げたり、頸にかじりついたり、頭の髪を丁寧に掻き下してなお可愛くなったとその柔らかな頬を無理に私の顔に押しつけたり、いろいろな真似をするのでございます。

そうすると私もそれが嬉れしいような気がして、その後はたびたび遊びに出かけて、おさよの顔を見ないと物足りないようになりました。