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じょなん
女難
国木田 独歩
「文藝界」1903(明治36)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,695 字 · 45 页
とまで云われて私も急に力が着きましたから、
『よろしい、それではともかくも一応叔母と相談して、叔母が承知すればよし、故障を言えばお前のいう通り、お幸と二人で大阪へでも東京へでも飛び出すばかりだが、お幸はこれを承知だろうか』
『ヘン! そんなことを私に聞くがものはありませんじゃないか、あなたの行くところならたとい火の中、水の底と来まサア!』と指の尖で私の頬を突いて先の剣幕にも似ず上気嫌なんです。
その晩はそれで帰りましたが、サアこの話がどうしても叔母に言い出されないのでございます。それと申すのは叔母も私の母より女難の一件を聞いていますし、母の死ぬる前にも叔母に女難のことは繰り返して頼んでおいたのですから、私の口からお幸のことでも言い出そうものならどんなに驚きもし、心配もするかわからないのでございます、次の朝から三日の間、私は今言おうか、もう切り出そうかと叔母の部屋を出たり入ったりしましたが、とうとう言うことができなかったのでございます。
叔母に言うことができないとすれば、お幸と二人で土地を逃げる他に仕方がないと一度は逃亡の仕度をして武の家に出かけましたが、それもイザとなって踏み出すことができませんでした。