轻松读懂日语经典作品
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ようえい
妖影
大倉 燁子
「オール読物」文芸春秋、1934(昭和11)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,489 字 · 22 页
私の傍を通りすがりながら先方から声をかけた。
「今晩は。いやに蒸しますね」
「まだ起きていらしたんですか?」
二人は立ち止った。
「少し涼もうと思って出て来たんですが」
「ここはなかなか風がよく入りますよ」
「でも、お邪魔ではないでしょうか?」
遠慮深そうに欄干に倚りかかっているので、早速自分の椅子をお嬢さんにすすめ、なお二つの椅子を運んで来た。
「イヤ、どうもこれは恐縮です」
お父さんは私の好意を心から感謝するように幾度も頭を下げてから、お嬢さんの細い体を抱くようにしてそれに腰かけさせた。そしてさも云い訳らしく云うのだった。
「どうも体が弱っているもんですから――。困ってしまいます」
二人の容子を見ていると気の毒になった。こんな病人をかかえて旅行するという事は何という危ぶなかしいことだろう。お父さん自身だって神経痙攣に悩んでいるのだし、お嬢さんの方は半分死んでいるようなこの痛々しさじゃないか。私は黙って見ていられなくなって、訊いてみる気になった。
「どこがお悪いんですか?」
「医者は心臓が悪いのだとか、肝臓だとか、いろんな事を申しますが、結局どこが悪いんだかよく分らないらしいんです。