轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つまのこと
妻のこと
江戸川 乱歩
「わが夢と真実」東京創元社、1957(昭和32)年8月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,803 字 · 8 页
着物といえばボロのカーキ服ただ一着、ほかの着物や服は皆質入れし、蒲団まで質屋へ持って行って、借り蒲団をしている状態だった。だから、隆子の持って来た衣類なども、次々と質入れするという始末で、生真面目な彼女は全く驚愕してしまった。それでも里へ帰りはしなかった。なにかしら私の進歩的に見える思想に魅されていたからであろう。これぎりの男でないと信じていたからであろう。
しかし、結婚式は画家の伯父の家で、正式にやった。私は借り着の紋付で、挨拶とも演説ともつかぬことを喋ったものである。支那ソバ屋をやっても、単なるおちぶれとは考えず、何かしら昂然たるものを持っていたにはちがいないのである。
しかし、妻をめとって支那ソバ屋もつづけられないし、前に世話をしてもらった就職先をしくじっているので、敷居が高くてごぶさたになっていた同郷の政治家、川崎克先生のところへ、面をおしぬぐって、再度の就職を頼みに行ったものである。すると川崎先生は別に叱りもせず、東京市社会局へ入れて下さった。だが、私という男は、またしても、その社会局を、半年でしくじってしまったのである。悪事を働いたわけではない。