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つまのざ

妻の座

壺井 栄

「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页

青空文庫

そして今度は、九文の足袋をはき、腕の中へ入ってしまうせんの奥さんと比べられている。きっと野村さんは気がつかずに比べているのよ。気がついてたって、それを悪いとはいえないわ。きたないよりきれいな方が誰だって好きさ。だけどさ、そんなことってある? 九文の足袋をはく人はもう骨になってるのよ。閑子は生きてるのよ。手足も腰も、目も声もまるでちがうなんて、今さら、侮辱だわ。知ったら閑ちゃんどんなに思うでしょう。」

器量の悪さを気にせずに貰ってくれたといって喜んでいた閑子のことを思い出し、ミネは当の相手が悠吉ででもあるように恨みがましくいった。

「かんべんしてくれよもう。しょうがないじゃないか。あとは二人で片づけるよ。」

悠吉にそういわれるとミネは、自分ひとりで取越苦労をしているような気にもなり、やっと心をしずめた。

「ほんとだわ。私にはだまってろっていうんだから、この問題閑子から相談されるまではだまってるわ。閑子の気持だってあるんだもの。ああ、あ、男なんてほんとに、私たちの間でも、やっぱり、男ね。女だって女かもしれない。女だわ。顔のきれいさを大きく考えてる。美しくないものほど、そうかもしれないわ。