轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こんきはずれ
婚期はずれ
織田 作之助
「会館芸術」1940(昭和15)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,054 字 · 16 页
その年の夏、持子は頑としてアッパッパを着たがらぬので、不審に思ってよくよく観察してみると、妊娠していると判った。相手は誰かと訊く元気も分別も出ず、口も利けずに、おたかはおろおろそこら中歩き廻った。何かいえば、呶鳴りつけそうな気配を部屋の中一杯におたかは漂わせて歩いた。やがて気も静まって落着いたところは、相手がどこの誰にしろ、たとえ畳屋の職人であろうと、持子をくれてやる肚だった。けれども、持子にやっと口を割らせてみると、相手はこの間胸を患って死んだという。おたかはぺたりと尻餅をついた。
秋。朝日理髪店一家は北田辺の郊外へ移った。こんどのところはあんた、郊外でんネ、前に川が流れてましてな。良え風吹きまんねんぜとおたかはいいふらした。そらえらい良えとこイあんた、行きはりまんねんなアとひとびとは言うのだが、肚の中ではおたかはんも到頭いたたまれんようにならはったと、さすがに見抜いていた。
年があけて、持子は男の子を産んだ。産気づくとおたかは襷を掛けて、鉢巻しかねなかった。産婆が取りあげると、娘たちは、口々におう、おうと唸りながら、しわくちゃの赤ん坊の顔を覗いた。