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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

社会小説は「分に応じた服従を示すことをもつて幸福を受けさせるべき」であり「貧弱者に教ふるに服従を以てせ」ざることを非難したのであった。

旧来女性は社会的貧弱者であるとされているのだから、教うるに服従をもってせよ、と云ったら、雷鳥は憤激したであろう。しかしながら、ニイチェの超人を説いたり、「吾人は須く現代を超越せざるべからず」と云ったりした樗牛のロマンティシズムと、「元始、女性は太陽であった」という文中の思想の本質とは、歴史的に観察すれば背中合わせの双生児とも云うべきものであった。

樗牛のロマンティシズムは三十年の日本に咲きかえった二十年代のロマンティシズムの惨めな変り咲きであった。『文学界』の人々の若々しく醇朴なロマンティシズムは、一葉の芸術に影響した過程をみても明らかなとおり、本来は前進的な意味に立つものであった。が、十年を経てあらわれた樗牛のロマンティシズムは、ニイチェに追随して自己の解放を個人主義に立つ観念の内に求めたばかりでなく、云うところの美的生活の実態を明らかにし得なくて、英雄崇拝に趨り、日蓮への憧憬に終末した。

雷鳥のロマンティックな天才についての翹望と理解の方向、自己を天才たらしめる道ゆきの定義は、其が社会の中での動きから超脱した個人の主観に基礎を置いていることからも、非常によく樗牛のロマンティシズム