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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
五、分流
(大正前期)
明治四十二年の二月ごろ、『女子文壇』という当時の女性のための文芸雑誌は、夏目漱石の「作家としての女子」という談話をのせている。短いものだけれども、その内容を今日の文学の現実や生活の感情に映してみるとなかなか面白いし、歴史的な意味もある。
「男女の性は自然に分賦せられているものではあるけれども、教育は男女の別に拘らず同一の知識を与える。」そう冒頭して、漱石は更に其が職業に用いらるる時は、男女とも異るところなく生活を営んで行くのであって、その点では男女のテンペラメントが次第に同化されて来る。琴などでも男の盲人が習った琴も、令嬢が教えられた琴も、変りなく同様の音曲節奏となって現れる、と解釈している。さて、婦人にして小説を職業もしくは道楽としている人があるが「女だから男子と同様のものを書くべきもので無いとは云い得られないのは勿論である。女であっても、其得意とする衣裳や髪容の細かい注意以外に或は男子の心理状態の解剖を為し得べき能力あるは、猶お男子にして婦人の心理解剖を為すに等しいものであろう。要は作品の問題で、畢竟佳い作品さえ出来ればそれで宜いのである。