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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
そういう意味での男女相剋を、最も濃い時代的雰囲気の中で小説に書いて行ったのが田村俊子であった。
明治四十四年、大阪朝日新聞の懸賞に応じて「あきらめ」という長篇小説が当選し、つづいて四十五年に発表した短篇「魔」から、俊子の名は当時の文学潮流の上に意味を有するものとなった。
小説がかきはじめられたのは、ずっと前からのことであった。
露伴の弟子となって露英という号で処女作「露分衣」という作品を『文芸倶楽部』に発表したのが三十六年と年譜に記されているのをみれば、それは俊子が十九歳ごろのことであった。小説ずきは子供時代かららしいが、露伴の弟子になったきっかけは、露伴の作品を読んだことからではなくて、「ひげ男」上演のとき、一方紅葉が「金色夜叉」の上演につききりでやかましく云っているのと反対に、露伴は一切無干渉だという新聞記事をよんで、「人格を敬慕するの余り、単独にてその門を叩きたるなり」と語られているところに、何かこの婦人作家の気質がうかがえる。
俊子は、露伴の人柄の抱擁力の大きさというようなものを心に描いて、その指導の中に自由な自身の文学的成長を期待したのであったろう。