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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
その後の婦人劇作家は岡田禎子にしろその他のより若い作家たちにしろ、容易に上演の可能を捉え得ないまま今日に来ている。それは何故だろうか。
脚本は文学のジャンルとしてむずかしい立体性、客観性を求められるものである。日本の女性が社会の過去から負うて来ている様々の持ちものは、そのような文学のジャンルにおいて特に力の不足が露出して、佳作を生み得ないということも云えるであろうと思う。外国の文学の歴史にも婦人のドラマティストは実に稀であるのだから。
けれども、他方には、女性の劇作家が生れ難くされているような社会の習俗そのものの最も伝統の重しのつよい、最もしきたりずくめの部分が、近代興業資本と結びついた芝居道であるということもその原因をなしている。
劇作を試みて、いくらかその間の事情に通じたとき、若い婦人作家たちはそのように伝統や金力やに制せられた舞台裏の現実に失望すると同時に、やはり芝居を好む気持は捨てられず、その矛盾の間で自身の芸術への努力を一部は諦め一部恋着するアマチュア風の穴へはまりこむのではなかろうか。
小山内薫の新劇運動の流れや前進座の劇団としての発展性は、その本質のなかに婦人劇作家の誕生を期待する要素をもっているのであるけれど、やはりまだ永く忍耐づよい明日が待たれなければならないのかもしれない。