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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

だったので、漸々彼が六十八歳の生涯を閉る僅か二年前の明治三十二年、「新女大学」とともに時事新報に発表したという事実は、深刻に日本の明治開化の非近代的な性格を反映している。自由民権論者の間に、男女平等は唱えられたが、その局部的な火は憲法発布の反動の嵐に消されて、明治は重い封建の軛をひいたままで進んで来た。

福沢諭吉は「女大学評論」の冒頭で、先ず「女大学」の著者貝原益軒が社会的なあらゆる立脚点で「男女を区別したるは女性の為に謀りて千載の憾と云ふも可なり」と云っている。「女大学は古来女子社会の宝書と崇められ一般の教育に用ひて女子を警むるのみならず女子が此教に従つて萎縮すればするほど男子のために便利なゆゑ男子の方が却つて女大学の趣旨を唱へて以て自身の我儘を恣にせんとするもの多し」「女子たる者は決して油断す可からず」旧い女大学に対する「新女大学」で諭吉は、「日本女子に限りて是非とも其知識を開発せんと欲するところは社会上の経済思想と法律思想と此二者に在り」「其の思想の皆無なるこそ女子社会の無力なる原因中の一大原因なれば」と強調しているのである。そして、結婚は男女の相互的な理解と愛とに立脚されるべきこと、家庭の父と息子と娘との取扱いに差別を少くして、女の子の経済的安定を計り、適宜に財産も分配してやるべきこと、これから