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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
を中心として出発した、当時の中堅作家たちは、いずれも文化と文学の貴族性が、何かの意味で身についている人々であった。けれども、人口の過半をしめる民衆の日々の生活と文化とはどこで漱石の作品と一致し、どこで芥川の文学に共感する現実をもっているだろう。既に吉野作造の万人の福利のデモクラシー思想の時代から、過去の文化、文学が支配階級のものとして生れ、民衆生活に無関係であることに対する反省がまきおこった。大杉栄がロマン・ローランの民衆芸術論を訳し、「民衆のための、民衆によって創られ、民衆のものである芸術」としてのより広汎な民衆の生活を反映するものとしての新しい文学が、待たれた。「民衆芸術論」がおこった。小川未明、加藤一夫などという作家は熱心な「民衆芸術」の提唱者であった。この民衆の芸術を求める動きは次第に、ぼんやり云われていた民衆というものをブルジョア階級に対立するものとして現代の社会にあらわれた無産階級としてはっきり認識するようになって来た。そして労働文学又は王、貴族、ブルジョアに対する第四階級たる無産者の文学を求める第四階級文学が提唱されはじめた。一九二一年(大正十年)頃労働者出身の作家として現れた宮嶋資夫が労働文学を、平林初之輔は、第四階級文学として、どちらも無産大衆の文化と文学とを求めたのであった。