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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
が、婦人によって書かれた作品の世界に初めてくりひろげられた女給生活の断片や、色彩の濃い筆致が注目をひいた。つづいて「墓を発く」という重く苦しい家庭関係を描いた自然主義的ではあるがリアリスティックで本気な作品が発表された。やがて離婚して宇野千代となり、二年三年と経るにつれて、リアリスティックな傾向と混りあって、この婦人作家の他の一方の特色としてはじめから現れていた抒情的デカダンスとでも云うような傾向が、作品の基調をなすように変化して行った。生活に対する虚無風な態度とそれをあやどる女心というようなものが、作品世界の調子として自覚的に扱われ、この婦人作家が情痴と貧困とを語る芸術の方法となって行った。
宇野千代は、これまでの婦人作家たちとは全くちがった生活の環境を通った人、又通っている人として当時の文学の分野に出現した。田村俊子がアメリカへ去ってしまってから、文壇と文学愛好者たちとは、田村俊子がその肉体と文学とから発散させてあたりに撒いていたような色彩と体温とを失ったままでいた。宇野千代がその作品中で「もっと困っていたのだったら屹度淫売をしただろうと思えるような困りかたであった」