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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

と前後して「多情仏心」を完結した里見※(「弓へん+享」、第3水準1-84-22)は、有島武郎の兄弟であっても、武郎とは非常にちがった常識と古さに自分のモラルの土台をかため、自身のまごころ道にそろそろ安住しはじめた形であった。室生犀星の「庭を作る人」の出たのもこの前後の年代であり、貧しき詩人として出発した犀星は、流行作家の地位を確立させるにつれ、彼によって俳味として理解されている一種のたたずまいが生活と芸術に定着しつつある様が見られた。

このようにして、諸作家がめいめいの形で落着こうとしかけている傾向に拍車をかけたのは、改造社の計画になった現代日本文学全集その他の円本大流行の現象であった。日本の出版界としては未曾有の大広告、大競争をして予約を集めたいく種類かの全集によって、多くの既成作家が、彼等の単行本からの印税では嘗て獲たことのないぐらい纏った金をとった。それらの小資産めいた収入を得たことは正宗白鳥夫妻、久米正雄夫妻、吉屋信子などを外遊させもしたが、本質的には益々馴れた平常着の安楽なぬくもりにくるまれる生活へと作家を進めたのであった。

『文芸戦線』