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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
宇野千代が作品を発表しはじめてから、つづいて中本たか子が新感覚派風の作品から次第にプロレタリア文学に接近しつつ精力的にかき出した。長谷川時雨の主宰した『女人芸術』が全女性進出行進曲を募集したとき、当選した松田解子が、伊豆の大島から上京して、プロレタリア作家として詩と小説を書きはじめた。
平林たい子の「施療室にて」が、『文芸戦線』にのって、その野性的でつよい筆力を注目されはじめたのは一九二七年頃のことであった。自分の通っていた女学校のある長野県上諏訪町の書店で、赤いバンドをかけた一冊の雑誌を初めて見て平林たい子の受けた刺戟と驚異。埋もれる天才と環境との問題へ目をひらかれ、ひいては女の社会条件とその関係へと心をひろげられて行った過程。「交換手見習」として上京してから二三年のうちに、いつしかアナーキズムの流れにまきこまれ朝鮮や満州を放浪した。その生活をきり上げて文学に精進しようとしていた時代の彼女の窮乏生活、畸形的な探偵小説を時々『新青年』に売ったりしつつ、平林たい子は『文芸戦線』のグループに近づいた。そして彼女の文学的一歩を印した「施療室にて」が生れた。