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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
おのれにふさわしい籠を天地とうけがって、そこの日向に囀られた初のひとこえであったのである。
花圃と同時代には、木村曙女史のほかにも竹柏園女史・幽芳女史などというひとびとが短篇小説をかいていた。また、小金井喜美子、「小公子」を訳した若松賤子などという今日においても忘られることのない名前も、その翻訳の業績とともに登場しはじめている。花圃をはじめとしてこれらの有能な婦人たちが、早逝した若松賤子をのぞいて、文学上の活動をずっと積極的につづけて行けなかったのは、何故であったろう。
ほかならぬ「藪の鶯」がその答えを与えていると思う。女主人公の浪子は作者とともに、女の理想として、生意気に亙らない範囲で物を知っていること、全く旧套によるのではないがさりとて全く自身の責任で生活してゆくというほどの社会的な独立を求めるのではなく、ふさわしい配偶を得て、内助の形での品のいいともかせぎの生活を描き出している。
当時はものを書くにも学問として伝統をふんだ教養が必要とされていたから、女でそのような教養をそなえることの出来たのは、結局上流の子女たちばかりであった。従ってふさわしい好配偶というめやすも、浪子の言葉がおのずから限定しているとおり、何かの意味で社会的には「殿様」