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ふじんとぶんがく

婦人と文学

宮本 百合子

※「作品について」参照

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页

青空文庫

の青年たちの情熱でもあった。

なかでも禿木は一番早く編輯事務のことから一葉のところへ出入りするようになったが、繊細な禿木の情調や人となりは、生活的にずっと深く刻まれている一葉にとって、たのもしい友として感じられるには到らなかったらしい。禿木によって、文学的には硯友社亜流の桃水などより、遙に新しく濁りない空気をもたらされたのであろうが、そのデリケートな脆弱さが、却ってそれとはなしの殺し文句をいうことも知っている桃水の成熟を偲ばせるせいか、一葉の思い出の上に深まる恋の苦しさは、この二十六年が絶頂の如くあった。「名に求めず隠れたる秀才を同好の間に紹介し」ようというのが眼目の『文学界』に一つ二つの短篇を発表したとて、愈々苦しい家計が何となろう。母の着物も売りつくした。「友といへど心に隔てある貴婦人の陪従して、をかしからぬに笑ひおもしろからねど喜ばねばならぬ」萩の舎の日常は、益々一葉にとっていとわしいものとなった。これまでのいきさつから云えば、一葉が塾のあとをつぐ筈の中島歌子の性格や生活にも、おのずとひらけた一葉の目にあまるところもあるようになった。母の瀧子が歎きに歎いて「汝が志弱くたてたる心なきから、かく成り行きぬと責め給ふ」