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ふじんさっか

婦人作家

宮本 百合子

「婦人と文学」附録、筑摩書房、1951(昭和26)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,898 字 · 58 页

青空文庫

をかいた。国内では国家総動員法が全面的に発動され、国外ではヒットラーのナチス軍がポーランドに侵入しヨーロッパを火と死のうちにつきこんだ。

このような年に婦人作家の活動が現代文学史のいつの時期よりも盛であったと記録されるのは、どういう理由からであったろう。窪川稲子「素足の娘」、真杉静枝の「小魚の心」「ひなどり」(短篇集)、大谷藤子「須崎屋」、中里恒子「乗合馬車」、壺井栄「暦」、そのほか矢田津世子「神楽坂」、美川きよ、森三千代、円地文子など当時の婦人作家はその人々の文学的閲歴にとって無視することのできない活動をした。一九三九年度の芥川賞、新潮賞などが婦人作家に与えられた。ジャーナリズムはこの年を「婦人作家の擡頭」という風によんだ。

この現象は、しかしながら、決して婦人作家に未来の発展を約束する意味での擡頭ではなかった。なぜならばこの年の活動を通して一定のポスター・バリューをもつことを証明した婦人作家たちは、たちまち軍情報局に動員されて、侵略軍のおもむいている、すべての地域に挙国一致精神のデモンストレーターとして利用されなければならないはめに立ったのであった。