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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

)と坂田が歯を吸って、合点んでいたが、どうだ。」

「ええ! あの、痘痕が、」

と色をかえて戦いた。主税はしかも点々と汗を流して、

「他の事とは違います、聞棄てになりません。私は、私は、これは、改めて、坂田に談じなければなりません。」

「何だ、坂田に談じる? 坂田に談じるまでもない。己がそう思ったらどうするんだ、先生が、そう思ったら何とするよ。」

「誰が、先生、そんな事。」

「いいや、内の玄関の書生も云った、坂田が己の許へ来たと云うと、お前の目の色が違うそうだ。車夫も云った、車夫の女房も云ったよ。(誰か妙の事を聞きに来たものはないか。)と云って、お前、車屋でまで聞くんだそうだな。恥しくは思わんか、大きな態をしやあがって、薄髯の生えた面を、どこまで曝して歩行いているんだ。」

と火鉢をぐいぐいと揺って。

四十一

「あっちへ蹌々、こっちへ踉々、狐の憑いたように、俺の近所を、葛西街道にして、肥料桶の臭をさせるのはどこの奴だ。

何か、聞きゃ、河野の方で、妙の身体に探捜を入れるのが、不都合だとか、不意気だとか言うそうだが、」

噫、礼之進が皆饒舌った……

「意気も不意気も土百姓の知った事かい。