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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

二十五

涙を払って、お蔦が、

「姉さん、私は浮世に未練が出た。また生命が惜くなったよ。皆さんに心配を懸けないで、今日からお医師にも懸りましょう、薬も服むよ。

お嬢さん、もう早瀬さんには逢えなくっても、貴女がお達者でいらっしゃいます内は、死にたくはなくなりました。」

と身をせめて、わなわな震える。

「寒気がするのねえ、さあ、お寝なさいよ、私が掛けて上げましょう。」

掻巻の襟へ惜気もなく、お妙が袖も手も入れて引くのを見て、

「ああ、勿体ない。そんなになすっては不可ません。皆がそうじゃないって言いますけれど、私は色のついた痰を吐きますから、大切なお身体に、もしか、感染でもするとなりません。」

覚悟した顔の色の、颯と桃色なが心細い。

「可いわ!」

「可いわではござんせん。あれ、そして寒気なんぞしませんよ。もう私は熱くって汗が出るようなんです、それから、姉さん、」

と小芳を見て、

「何ぞ……」

と云うと、黙って頷く。

「来たらね、こんな処でなく、あっちへ行って、お前さん、お嬢さんと。」

「今日は私に任かせておくれ。」

「いいえ、」

「不可ないよ、私がするんだよ。